連載コラム『ティーブレイク』(29)
2026.04.04 技術研究、コラム
言い訳ってビジネスマナー?
ある講演会で、人間の脳の発達と群れの大きさが関係しているとの話を聞きました。様々な動物で、群れの大きさと脳の発達を研究すると、群れの大きさが大きくなるほど脳の新皮質は大きくなってきたそうです。脳と群れの大きさは正比例の関係にあり、その頂点に人間がいるとのことです。
人は、一人、家族、グループと群れを作り、社会生活を営み、安定した人間関係を維持していくのに適正な群れの大きさをつくるとともに、脳も言語、理性、他者との理解、感情の抑制など社会的な生活を営むために必要な機能(社会脳)を発達させてきたそうです。因みに、その群れの大きさは150人位だそうですが、人の顔と名前を一致させ、ある程度性格を把握しながら、組織として安定した人間関係を維持できる大きさということではないかと思います。
しかしながら、人が集まれば諍いやトラブルなどがつきものですし、会社では上司やお客様からお小言やお叱りを受けることもあるかと思いますが、そこは社会脳が発達することで、人間関係や信頼関係を保ちながら群れ(組織)を維持してきたのだと思います。
例えば、仕事で失敗したり、打合せに遅刻したりすると「言い訳」することがあります。新入社員教育では、社会人として「言い訳」するなと教えられたと思いますが、言い訳を有効に使うことは社会的関係維持のためには必要なことかもしれません。ただし、使い方を誤ると信頼を損ない、社会集団から弾き飛ばされ、逆効果となります。ある市の市長学歴詐称事件は、その典型ではないでしょうか。自己正当化や責任転嫁のような言い訳は通用しないということです。相手も社会脳を持っていますので、小手先の表面的な言い訳は通用せず、誠実さを欠くと逆に信頼感を損なうことになります。
効果的な言い訳は、自己防衛ではなく建設的な言い訳、「謝罪+説明+改善」をうまく組み合わせることだそうです。もう一つ、言い訳は長期的には信頼を低下させるので、大事なとき、ここぞというときに使うと効果的であるとのことです。群れの大きさは様々でしょうが、組織の中で生活していくためには「言い訳」とうまくつきあうことも必要なのかもしれません。
来月(4月)には、社会人として新たな人材が組織に入ってきます。社会と初めて接点を持つ人材です。社会に適応し、新たなことにチャレンジしようとすればするほど、トラブルに遭遇することも多くなるでしょう。社会脳の効果的な使い方や言い訳とうまくつきあう方法について、ビジネスマナーの一つとして指導してみてはいかがでしょうか。
さて私事になりますが、2021年6月にスタートさせていただきました本コラムですが私が担当させていただくのは今回が最後になります。長い間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
2026年3月18日 TTC参事 菊谷 彰