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連載コラム『ティーブレイク』(27)

2025.11.17 技術研究、コラム

連載コラム『ティーブレイク』(27)

 

文化の秋?

 

 秋と言えば、食欲、スポーツ、読書、芸術などの様々な修飾語がつく季節です。気候的に涼しく過ごしやすいことから、いろいろな面で活動的になります。この時期は、各地で文化講演会なるものが開催されるのではないかと思いますが、お出かけになったことはありますか。
以下に、ある講演会での出来事を紹介します。

①防災に関する講演会
 講演後の質疑応答時に遅れて入場してきた方が、その点を詫びた上で講師に質問しました。講師は、遅れてきて質問するとは失礼だと小言を言われたのちに回答しましたが、気分を害しておられたのか、その回答は質問の意図をしっかり受け止めた上での回答ではありませんでした。
②国際紛争に関する時局講演会
 聴講していた方が質疑応答時に講師の話に反論しました。自分は、講師が話題にした組織で仕事をしていたが講師が説明したような事実はないと。講師は、自分が入手した情報や事実関係を確認するため組織に対し行った調査結果などを説明しました。質問者が感情的になって食って掛かる物言いであるのに対し、講師は非常に冷静に事実関係を丁寧に説明しました。
③考古学に関する講演会
 ある聴講者が、講演内容とは関係のない自分事ばかりを延々と質問しました。〇〇鉱物の研究をしている誰々先生を知っているか、××粘土にはこんな効能があるが聞いたことがあるかなど、自分が博学であることを自慢したいだけで講演に対する質問になっていません。このような場面でも講師は、顔色一つ変えることなく、質問者の感情やプライドを傷つけないように受け答えしました。

 ①は、講師がメディアにもよく登場する地震工学や防災を研究している著名な学者でしたが、研究者にありがちな上から目線の一方通行的な講演です。②は、講師がジャーナリストの方です。社会的に難しいテーマを聴講する側が理解しやすいように意図的に問題点を浮き彫りにし、刺激的に話すが、裏付けはしっかりした講演です。③は、講師が大学の先生です。日常、学生相手に講義しているからか、とんでもない質問にも冷静に対応し、相手に合わせた講演です。

 どの事例も講演会でよく目にする光景だと思いますが、講師と聴講者がいろいろな形で対話しようとしているのだと思います。一方的に講師の説を聴くだけでなく、反論含めた質疑応答があってもよいし、感情的になることもありますが、相手を認め、相手の話を聴こう、自ら学ぼうという姿勢が大切ではないかと思います。

 紹介した講演会は、いずれも素晴らしい内容の講演でした。皆さんは、どの講師、質問者に該当しそうですか。いろいろな講師や聴講者を観察していると講演会のテーマ以外にも学ぶことばかりです。正に、収穫の秋です。

 最近は、季節としての秋は短くなってきていますが、自分自身を成長させる、実り多き収穫、文化の秋は季節に関係なく一生涯のものかもしれないですね。

 皆さん、講演会に出かけ、文化の秋を満喫してみませんか。

 

 2025年11月4日  TTC参事  菊谷 彰