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連載コラム『ティーブレイク』(7)

2022.07.21 技術研究、コラム

連載コラム『ティーブレイク』(7)

万博の跡地活用

 

 最近、新聞やテレビで愛・地球博記念公園(モリコロパーク)の跡地利用のことが話題になっているが、万博会場の跡地利用と聞いて思い出されるのは1970年に開催された大阪万博である。

 大阪万博は、「人類の進歩と調和」をテーマに開催され、月の石、ロボット、携帯電話、動く歩道など技術の進歩に驚き、輝かしい人類の未来を夢見たものである。その後、会場跡地である万博記念公園にいくつかの施設が建てられたが、その一つに国立民族学博物館(民博)がある。

 民博は、民族学や文化人類学の調査・研究とともに、世界諸民族の社会・文化に関する情報を人々に提供し、民族の認識・理解を深めるために創設され、日本における民族学研究の中心的な役割を担う博物館を持つ研究施設として1977年に開館した。初代館長は、日本の文化人類学の先駆者である梅棹忠夫氏であった。
 民博は、民族の暮らしや文化を映像と音声で記録した「ビデオテーク」や展示物を見ながら携帯型のタブレットから映像と音声ガイドが流れる「電子ガイドシステム」など、当時の博物館としては画期的な展示方法を世に示した。また、講演会や国内外の研修会などを企画し、専門家による積極的な情報発信と体験の場を提供した。
 当時、ただ単に展示物を見せるだけの従来型の博物館ではない、民博の出現は驚きであり、「ビデオテーク」などは何度訪れても見切れないほどの収集数であり、「電子ガイドシステム」も併せて、収集された膨大なデータベースの管理・展示技術のスケールの大きさや斬新さには目を見張るものがあった。
 講演会では、民族学や文化人類学の第一線研究者による研究成果などの話を聞くことができ、研修会では研究者とともに国内外の現地に出向き、いろいろな文化に直接触れることができ貴重な体験をすることができる。

 こうした動きを見ていると、万博が掲げたテーマは開催期間だけのものではなく、その後も継続させる重要な使命があるのではないかと思われる。

 さて、愛知県も2005年に「自然の叡智」をテーマに愛・地球博を開催した。その跡地である愛・地球博記念公園(モリコロパーク)にジブリパークを誘致し、スタジオジブリの世界を再現する計画が発表され世間の注目を集め、いよいよ今年11月に開園する。
 ジブリは、人間社会に対し、戦争、環境、自然との共生など、いろいろな観点から映像を通して問題提起をしているのではないかと思われるが、さてこの愛知から世界に向け何を発信していくのであろうか。今から大変楽しみである。

 戦争、災害、テロなど、暗く悲しい出来事が続く日々であるが、何とか未来に光を見出せる場であってほしいものである。

 2022年7月21日  TTC参与  菊谷 彰